夏の京都の空は迫力がある。入道雲はモコモコとそこにダイブしたくなるようで、夕方になっても勢いは衰えず、いつも空を見上げてしまう。
春から新しい環境に半身を置くことになって、賀茂川の近くに部屋を借りた。その辺りは観光というより暮らしという雰囲気が色濃く、高い建物が少なく、空が広くて山が近い。
部屋から川沿いに山の方に上って橋を渡ったところにその店はある。川を横切る風と光が入る、しんしんと静かで清々しい店だ。お腹と心がいっぱいになるプレートランチとデザートがあって、グラスワインが飲める店で、ランチタイムのあとは夕方暗くなる頃までバータイムとして営業している。
その店の下にはレコードショップがある。そこのInstagramアカウントで欲しかったレコードが取り上げられていて、行ってみたら残念ながら売り切れていたのだが、上の店にあがったらまさにそのレコードが流れていた。待ち合わせをした友人がやって来るまで、お店の方にそのレコードの話を少し聞かせてもらう(下の店で購入したのではなかったそうで、入手先を教えてもらった)。
なかなか時間の都合がつけられずアペロタイムに伺うことはまだできていないのだが、夕方の川を眺めながらいつかそこでワインを飲むのだ、そのあとは中華とかに繰り出してさ、という妄想だけで自分は、ええと、その例のレコードの中で一番好きな曲が「あなたは過去や痛みを忘れさせてくれる」という内容の歌詞なのだが、その情景を想像するだけで、まさにそんな感じに、自分の京都生活は潤いのあるものになる気がするのだった。
Written & Photographed by Natsuko Yoneyama / Graphic, Editorial Designer