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MANOLO BLAHNIK’S TASSEL LOAFER

マノロブラニク〉には、知る限りメンズにだけローファーがある。細身でエレガ ントなノーズなのでサイズが大きめな女性(*私は41)ならちょうどいい感じ に思っていて、昨年パリに行ったときに、パレロワイヤルの回廊にある〈マノロブラニク〉のショップでこのタッセルローファーを購入した。思い返せば、パレロワイヤル周辺の暗い裏道をウロウロしていた時に突然現れた、小さな扉。色とりどりの鳥たちが木立で休んでいる かのように、優雅にパンプスが覗いている。あとから知ったが、2019年にオープンしたニューなマノロで、出くわしたのはその裏口だった。入らない理由がない魅惑の扉に吸い込まれるまま、まずは憧れのサイドゴアブーツや深緑でふかふかのベルベッドソファにうっとりしたあと、2階へ。すると一転、上品なマホガニーでおおわれた壁一面にシックな紳士靴が並んでいた。いわゆる英国靴というと、たとえば<チャーチ>のような、しっかりと縫い目のある重たいイメージだが、それに比べてマノロは、アウトソールのステッチを見えないようにする「ヒドゥンチャネル」製法で作られていて、洒脱さを感じる。だから女性の足元に馴染むのかもしれない。かのキャリー・ブラッドショーだって絶対手に取っているはず。そんなことを思いながら、ウィンブルドンのロッカールームのような重厚な空間で、コートに向かう選手のように慎重にブラウンのタッセルローファーを選んだ。ブラックと迷ったけれど、そもそもがメンズなので、ブラウンの方がより軽やかでモダンな気がした。

ときどき大人の女性が白いソックスにローファーを履いていると、ハッとする。カッコいい佇まいの足元に、ほんのりイノセンスを感じて。

Text by Saya Kawada (Town)