• EVERYONE‘S CHAIR

THE SAFARI CHAIR

長方形の段ボールにきれいに収まったキャンバスとウッドのパーツ、それにレザーのストラップ。ネジとかドライバーとかそういうちょっと厄介なものはまったく必要なしで、この箱の中にあるも のを組み合わせると出来上がる椅子。なんてシンプルで機能的なんだい。格好いい。初めて自分 で買う椅子はこれにしようって決めた。コーア・クリントというデザイナーはデンマークにおけるモダンデザインの父、と呼ばれる人。ボーエ・モーエンセンの先生だ。その先生が、イギリス軍の将校たちがインド遠征時にテントで愛用していた組み立て式のインディアンローキーチェアをリデザインしたと言う「サファリチェア」。なるほど確かに外も似合う。あの修禅寺の旅館あさばの優雅なベランダにも置かれてる。
ガッサガサした頑丈なキャンバスには信頼しかなく、1ミリの不安も持たず背もたれに寄りかかれば自重でリ クライニングする。ふー、気持ちがいい。これまで引っ越しや移動で4、5回組み立てた。1度目 はそれなりに苦労した。あっちを固めればこっちがガタガタしてしばらくは生まれたての仔馬状態でイライラ。2度目は洗濯したため生地がギューっと縮まってしまい1人では無理だった。以来、怖くて解体を避けてたが、随分久々に3度目の挑戦がやってきた。5分もかからなかった。説明書なし感覚だけでひょひょいと出来上がった。キャンバスも馴染んで、力もいらない。オーマイディア。
買った当時$1,125だった。じつはこの椅子には揃いのオットマンが存在する。揃ってる姿はより愛おしかった。のに、確か$600前後でとても高く感じて買えなかった。同じ時間を過ごしてないとチグハグな気がして今から買う気持ちになれない。

Text&Photo by Naoko Kato(Town)