これは去年の夏のことです。
映画の撮影で、ロンドン郊外の滞在していた小さな町に、Waitroseというスーパーマーケットがありました。大好きで週に２、３回ほど通っていました。
ある時、その駐車場に、ギリギリ一台の車が入りそうなスペースを見つけました。前も左も右も、草木で囲まれていました。あのスペースに入ってみたいな、と思ったけど、ドアを開けて自分が出られないのでは、というのもあるけど、それだけではなく、車ごと出られなくなるような、理論的には、バックしたらいいだけだけど、一度入ったら出れなくなるかもという恐怖心のようなものを思い、このスペースを見つけた日は、別の場所に車を停めました。
それから数日後、再びそのスペースを見た時、思い切って、スーッとその空間に入ってみました。前も、左も、右も、緑に囲まれた空間で、そのまま車にいてぼーっとしていたいスペースでした。ドアを開けて出るにも、なんの問題もなくて、何にも心配することがなかったのでした。
フォトグラファーJIMAから届く、街の風景とメモ。
Written & Photographed by Atsushi Nishijima