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MY MARTINI

街がホリデーめくこの時季に丸の内を通るとスターズホロー(ドラマ『ギルモアガールズ』の舞台である架空の街)が思い起こされる。作中での冬景色の描写はとても魅力的であるが、寒すぎる夜は外出すら控えたい。そんな日は家でギルモア。

このドラマにはマティーニがよく出てくる。ギルモア母・ローレライの食前酒の定番だし、娘・ローリーの21歳の誕生日パーティでは“ローリー”と名付けられたピンク色のカクテルがシャープなグラスで振る舞われる。

Have a RORY! Have a RORY! テキパキと場を仕切る大ギルモア(祖母・エミリー)発案による、催しの目玉。シャンパンとウォッカ、パイナップルジュールとザクロのシロップで作られる。(S6E7)

主役のローリーすら知らない招待客にまで得意げに勧めている。張り切りすぎのエミリーが若干空回りしていることも、そのカクテルの評判がイマイチなところも実に“ギルモア的”である。

ローレライに仏頂面で文句をいうルーク。

味は疑問だけどそのかわいい色に触発されて、クランベリージュースをソーダで割ってみた。イージーにローリー気分。<順造選>のは果汁100%で、ジャンク好みのギルモア親子からインスパイアされたとは思えないほど健康的である。

このヘルシーカクテル(というかジュースなのだけど)を注いだのは山野アンダーソン陽子さんのマティーニグラス。

10月末、鎌倉のinkギャラリーで行われた『Glass Tableware in Still Life』というプロジェクトの作品集のローンチ展で購入した。

生活との相性は山野さんの作品の魅力の一つであると素人なりに感じている。このマティーニグラスも、日常で使うのにも緊張しない柔らかさがある。

このプロジェクトは、18名の画家が描いてみたいガラス食器を言葉で伝え、山野さんが形作り、出来上がったものを画家たちが静物画として描き、さらに三部正博さんが各アトリエと静物画を撮りおろして、グラフィックデザイナーの須山悠里さんが本にするというもの。その中で、カール・ハムウドがマティーニグラスを描いている。

この冬は、“ローリー2023”を片手に、レッツギルモア。

展覧会「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」が、広島市現代美術館で1月8日まで、東京オペラシティ アートギャラリーでは1月17日から3月24日まで予定されている。

Photographed by Riku Ikeya

Written by Minori Kitamura