おなじみの人にはおなじみの、Amazonでアクセスエラーになると出てくるあの方々。吠えるでも尻尾を振るでもない、インターネットの網目に“居る”だけの彼らは、不意に遭遇するとかわいいしうれしいんだけれども、なにしろエラーの状況なのでほんの少しだけ苛立つことも、ある。その様子が加藤淳一のアクリル絵の具によって、とぼけた愛らしさマシ気味に表現された作品になり、しばらく前から部屋に居てくれている。Amazonを題材にしていたり、『PRIME DOGS』というタイトルだったり、ストレートなようでどこか批評性も含むアートだ。
しかし犬のこの読み取れなさと、こちら側も必要以上に読み取ろうとしない(思いやりや愛情は大前提の)関係性が結構好きだ。飼い犬が人間のように表情豊かで、たまに中に誰か入っているんじゃないかというような仕草をすることもある。けれど本当のところ、彼らが何を考えているのか、いないのかは、わからないことだと思う。猫だって人間だってアメンボだって、そうだと思う。
ただそこに居るだけで素敵なのだ。「居てよし」と言ったのは木皿泉脚本のドラマ『すいか』で浅丘ルリ子演じる教授だったが、そういうことを、わたしは犬を通じて知った。
プライムドッグスは今日も密林のどこかに居る。けど巡り会えても、特に何かはしてくれない。
Photographed (Top) by Katsuhide Morimoto
Written by Saya Kawada (Town)