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TALK WITH YAGI-CHAN AND MASUMI-SAN

女優の八木莉可子さん、写真家の石田真澄さんに、二人の写真集をデザインしたアートディレクターの前田晃伸さんが会いに行きました。

◎ 前に『ポパイ』に出た時は…中学生ですかね?

八木莉可子さん(以下、Y) はい。ガールフレンド特集(*雑誌『ポパイ』2017年1月号)の時は中学生です。生徒会長とかしてました。

◎ ですよね。その時、『ポパイ』のデザインやってました。

Y わ!そうなんですね…!まだ、<ポカリスエット>のCMをやらせていただいてすぐの頃です。

◎ 編集部で、この子がいいってなって、ああ、こういう子がいるんだな、って思ったのを覚えてます。八木さんと石田さんとの出会いは『ギンザ』でしたっけ?

石田真澄さん(以下、I) そうです。スナップ特集(*雑誌『ギンザ』2019年2月号)の時に、なんでもやっていいですよ、って言ってくださって。せっかくなら誰か撮りたい人いないですか、ってことになり、八木莉可子さんを撮りたいって言いました。

◎ その時が初めて?

I はい。会ったことはないけど、撮ってみたいって。それでいきなりヤギちゃんの故郷の滋賀に行きました。編集部からセーターとデニムパンツを借りて。

◎ なんで編集部の!?

I 編集者とわたしたちだけの三人旅で、ヘアメイクさんやスタイリストさんなしだったので、一応、編集部にあったものを持って行くことになったんです。

◎ でも、八木さんも驚いたでしょう。すごく年齢の近いカメラマンで。

Y はい、びっくりしました。

◎ 変な感じですよね。

Y 本当ですよね。楽しい旅でした。

I はじめまして、でいきなりの旅。緊張しましたね。どんな子か全然わからないし、パブリックイメージしかなくて。

◎ イメージ通りでした?

I イメージより、もっと喋る人だった(笑)

◎ よく了承してくれましたよね、マネージャーさん、誰もいないのに。いきなりはじめまして、で。

I 編集の方から、「OK出ました」って言われて、結構びっくりしながら行ったのを覚えてます。

Y マネージャーさんからは地元の滋賀で、三人旅で、よかったね、くらいに言われてました(笑)

◎ 出会ってから4年で、お互い変わったことってありますか?

Y うーん。あるかなあ?

I ヤギちゃんは仕事の内容がすごく変わったよね。会った時はほぼモデルの仕事だったけど、途中からドラマとか映画の仕事をするようになって。

Y 最初の方は全然そんな話してなくて。

I ちょうど、長期の作品のオーディション受かりました、ってタイミングがあったんだよね。で、あれどうなったの、って感じで経緯を全部聞いてた。北海道で撮影しているときは、遊びに行ったりもしてたし。印象は全然変わらないし、喋るテンションも変わらないけど、話す内容が変わった気がする。

Y へえー、そっか。

◎ じゃあ石田さんが聞く、ってことが多い?

I はい。すごく聞いてた気がする。同じ仕事でもないし年齢も3つしか変わらないし、助言とかはしないけど、聞いてました。

◎ 逆に八木さんから見て石田さんは?

Y 一番最初にお会いした時に、「まだ芸能人の人をあまり撮ったことがなくて、怖い」って言ってたの覚えてる(笑) それからいっぱい撮るようになってすごいな、って。

I 感想じゃん(笑)作品で見ているイメージとご本人のギャップにそんなにこう、対応できないから、自分から「この人を撮りたい」って仕事で言うことがあまりない、って話を、たぶんしたのかもしれない。

Y でもそんな変わったイメージないです。いつも、あまり年齢も変わらないのに、落ち着いてて、冷静で、っていうイメージはすっごいあります。4年前から、今でも。

I ありがとうございます、よかった。

Y ずっとなんか、お姉ちゃん的な感じを勝手に抱いてる。

I 年下の友達いないんだよね。自分が末っ子で、仕事も上の人がずっと多かったから。 ほんと数える程。遊びに行こうって言える子は2、3人かも。

◎ そうなんですね。しっかりした印象があるから、そんな風に見えない。

I だからヤギちゃんと初めてこんなに喋ったりしてて、年上だと助言しがちだからこそ、それはできないな、って意識的にやったかも。年上の立場に慣れてなかったので、つい、こうしたほうがいいんじゃない、って言っちゃいそうになっちゃうんです、勝手なイメージで。ヤギちゃんはそれをまっすぐ受け止める人だからこそ、自分より年上の人に言われたらちゃんと信じて行動しちゃうだろうな、中途半端な立場でそれは言えない、って思って。

◎誠実ですね。そんなことできたかなあ…

I いやいやいや、ヤギちゃんがまっすぐだったからこそ。言ってることすごい覚えてたり、正面から受け取る人だったから。

Y でも、ありがたかったです。いろんな人からいろんな意見を聞くようになって、どの人のことも好きで聞きたいけど、みんな言うことが違ったりするので…全部ひっくるめて、「だーいじょうぶ!」って言ってくれたのがすごく心強かったです。

AWW 今回の写真集のデザイナーは、石田さんから前田さんを指名されたんですか?

I はい。これまでも<横浜ベイスターズ>の仕事とか、何度かご一緒してて。ベイスターズの打ち合わせの帰りの電車で、写真の話をしたんです。その時に「こういう写真が苦手」っていうのが二人とも合って、それが一緒の人だと、写真が預けられるなと思いました。

◎ 全然覚えてない…

I 1冊作るってなると、そういう感覚が一緒の方がいいな、って思いました。

◎ なるほどね。どう!?聞いた(笑)!?

I 今回のようないっぱい撮った写真の中から選んでもらうには、まずそこが合ってないと難しいし。

◎ まあでも、あまり年の差を感じてないんですよ。なんとなくわかるというか。

I やった!

◎ あと、普段もあまり細かく言わない。任せます、って。だからおおよその人となりがわかると、あとはじゃあ撮ってください、って感じで。カメラマンが主役なんで、って。

I そう。それで編集の方も知り合いだったから、すぐお願いしてくれて。

◎ 今回の本がどんなものなのか、石田さんから聞いていたので、それを形にしていく、って作業でしたね。でもあの、カバーの選ばれた写真は意外でした。顔を机に倒してる写真で、それってやっぱ重力によって、ちょっと顔の表情が違って見えちゃったりするから、個人的には好きなんだけど、ダメなんじゃないの?って思ってた。表紙くらいはバチっとわかりやすい写真で、って言われるかなと思ったら、満場一致でこれ、ってなって。

Y そうだったんですね。それより、なんでパジャマの写真使ったんですか!?

◎ パジャマの写真てどれでしたっけ?

Y びっくりした!ユニコーンの柄のダッサい服着てて(笑) まだ冬はあれ着てますけど。

◎ いや、これは入れた方がいいでしょう!たぶん石田さんもそうだと思うけど、何気ない表情が欲しいんですよ。そういう意味で、あれはパジャマとは知らなかったけど、パーソナルエリアに入ったような距離感の写真でいいなと思って。石田さんのリストの中に入ってるから使っていいんだ、って。意外にNGなかったですね。

I いいんですいいんです。 本当に、表情のNGなかった。

Y あれが世に出たら私もう怖いものないやって思って。あんなお風呂上がりの頭にタオル巻いたのが。無敵です(笑)

◎ あれは石田さんじゃないと撮れないですよね。

◎ 二人で飲んだりはしますか?

I ヤギちゃん飲まないよね。

Y あ、最近でも…

I おお!?ヤギが…!やばいじゃん!

Y 覚えました!!!でも、一人で飲んだりとかしないですけど。

◎ コンビニ出てすぐプシュッと開けたりとか?

Y しないですけど(笑)、事務所の人たちと、どこまで飲めるか知っておこう、ってなって、みんなで飲んだんですよ。そしたら、結構飲めて、わりと大丈夫だった、というのを知りました。サワーとか甘いのしか飲めなくて、日本酒とかは苦くて飲めなかったです。ジュースみたいなやつじゃないと。

I どうしよう、ヤギちゃんがビオワインしか飲まなくなったら。「これってナチュールですか?」って言い出したら。

◎ 全然ありそう、時間の問題ですよ。すぐそこまで来てますよ。

I 写真集の打ち上げとかでね(笑)

八木莉可子
女優。2001年、滋賀県生まれ。2015年にデビュー。雑誌『セブンティーン』で「ミスセブンティーン2016」に選ばれ、大塚製薬<ポカリスエット>のみずみずしい広告でも注目を集める。近年は女優として活動の場を広げている。
https://www.instagram.com/yagirikaco_official/

石田真澄
写真家。1998年、埼玉県生まれ。2017年5月に自身初の個展「GINGER ALE」を開催。2018年2月、初作品集『light years -光年-』を刊行。学生生活や友人、日々の記憶を収めた写真を撮りながら、雑誌や広告で活躍中。
https://www.instagram.com/8msmsm8/

Interviewed, Photographed & Collaged by Akinobu Maeda