今年の夏、4週間ほど、仕事でロンドンにいた。時間があったので、美味しいとおすすめのレストランへ何軒か行った。人気のレストランは、少なくとも1週間前とかには予約が必要だろうけど、一人なら、17時ぐらいの、オープンして間もない時間に行けば、バーカウンターに座れるだろうと思い、直接行ってみると、どこのレストランでも座れた。
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おすすめレストラン、どこも美味しい。でも、”まあ、美味しかったな”、で終わることが多い。3倍ぐらい美味しくないと、期待しすぎているのもあるだろうし、おすすめしてくれた人たちの、その時のシチュエーションや思い出や天候なども、含まれてるから、同じ美味しさを体験するというのはないのだろう。
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ある雨の日の午後、Newington Greenにある、夜になると肉屋の人がDJになるという肉屋がどんななのか、滞在先のKings Crossから、バスに乗って行ってみることにした。おしゃれな肉屋で、レコードとか音楽の機材が、肉のカウンター越しに置かれていた。
その隣には、おしゃれな魚屋があった。店先で、オイスターを食べてる人がいて、入り口の壁に、Sashimi platesと書いてあった。”刺身か〜、食べたい”と思い、中に入ってみると、二人の少年と店主であろう男性が立っていた。おそらく、双子で、おそらく、夏休みで、家族経営の手伝いをしている感じだった。”刺身を食べたい “と、少年たちに伝えると、店主の男性が、”15ポンド分ぐらいの刺身でいいか?”と聞くので、それでお願いした。”何か飲む?”と聞くので、白ワインを頼んだ。
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刺身を3種類、白ワインはSlovakiaのワインで、美味しかった。帰り際、双子の少年の写真を撮った。気分良く、バスに乗って帰る、Newington Greenでのアペロだった。
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ニューヨークに暮らすフォトグラファーJIMAの食にまつわるフォト便り。彼の食卓にはいつも少しの工夫や好奇心があって、なによりとても美味しそう。
Written & Photographed by Atsushi Nishijima