スキーに行った。
先シーズンお誘いを受けたが、なんだかんだと行けない理由を見つけて1年先延ばしにした。雪への憧れはあるが、スキーにはビビっていた。
1年越しのスキー合宿前日、慣れない準備で行く前からヘトヘトになった。寒いとか、滑ると暑いとか、汗かくとさらに寒いとか、色々ややこしい。重くなった荷物を抱え、早朝の新幹線でコーヒーを飲んでやっと一息付く。思い描いた優雅なスキーリゾートの旅とは程遠いが、トンネルを幾つも超えて到着した町は真っ白でキレイだった。雪はフカフカだった。
肝心のスキーは、ギュウギュウに足を締め付ける重くて醜いブーツが大嫌いになった。宇宙服状態で運ばなければならない板は投げ捨ててしまいたかった。
というわけで2日目はほとんどの時間、お茶をして過ごした。外国人だらけのゲレンデで、老若男女のスキースタイルを研究してみる。若くて上手そうなお兄さんは最新のハイテクなウェア。自分と同じブランドの最新のゴーグル同士と分かるとハイタッチしているではないか。そんなハイテクたちより気になったのは年配のおじさまの懐かしい配色のセーターや、おばさまのクラシックなヘッドバンドだ。
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白いウェアは『私をスキーに連れてって』で原田知世がキュートに着ているので憧れていた。が、転べばすぐに汚れるので上級者しか着れない色だと知った。
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可憐に携えてる板だけど、手袋なしじゃ怪我するし、とても重いことを知った。
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赤と黒のウェアはカッコよく、相当な上級者に見える。初心者のわたしはパートナーのお古の黒いウェアと先輩から借りた赤いグローブで図らずも見た目だけはそうなってしまった。
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急斜面を滑り落ちるのも怖いが、登り坂はもっと辛いことを知った。
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ロイヤル風にスカーフを巻いてアプレスキー(だけ)したい。
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リフトから見えた景色は美しかった。けど、一刻も早く下界に降りて全ての装備から解放されたかった。板とスキーブーツを脱ぎ放ったとき、飛べるんじゃないかと思うほど自分を軽く感じた。この感覚を求めてわたしはまたスキーに行くのかもしれない。
Written by Naoko Kato(Town)