• A ROOM OF ONE’S OWN

SUNSHINE+CLOUD’S TOTE BAG

春休み中の子どもたちと予定を合わせて平日の朝から葉山へ。道路は空いていて、ほとんど散ってしまった桜を名残惜しく脇目に走る。

フランシス・ベーコン展が目当てのショートトリップで、兄はベーコンの世界に引き込まれてじっと観てまわっていたけれど、弟の方はフランスのベーコンなんてつまらない、と館内にゴンと響く自分のたてた足音の方が楽しかった様子。私はその音を阻むべく17kgの身体を背負って、急ぎ足での鑑賞はおよそ30分でおわり。
子連れでの絵画鑑賞なんてたいていそんなものなので覚悟はしていたけれど、顔の絵の部屋はゆっくり観られたらもう少し何かがわかっただろうか。もしくはわからなかっただろうか。どうしたらあんな風にフォルムと色の組み合わせを生み出せるんだろう。
ベーコンが様々な写真や新聞のスクラップなどに重ねて描いたシリーズがたくさん観られたのは良かった。友人のアヴェドンの写真集にも描いていた。
ベーコンの片付かないアトリエの写真を見て、ぐちゃぐちゃで僕みたいだね、と兄。

早くもおなかがすいたという彼らと近くのサンシャイン+クラウドに寄り道をした。併設のカフェは11時半からで、少し早かったので店内をぐるっと見てまわると、綺麗なピンク色のキャンバスのトートバッグ。ベーコンが好んで使ったその色に重なって見えて手に取る。
三人分の水筒やタオルや除菌グッズなど子どもたちと出かける日は何かと荷物が多いから、それらもたっぷりと入りそうなちょうどよいサイズ。
それから大小のさりげないポケットがついていて、車の鍵や財布や携帯電話など鞄の底をガサガサ探す無駄な仕草が減るのはすごくいいな、と思う。

そうしている間にも庭から私を大声で呼ぶ声。どうやらメダカがいるらしい。そういえばいつからか、兄はもう私と手を繋がない。弟もすぐだろう。いつまで一緒に出かけられるんだろうと考えたら、この使い勝手の良さそうなベーコンピンクのトートバッグが無性に欲しくなったのだった。
気持ちの良い春のある日、フランシス・ベーコン(フランスのベーコン)を観てから、ホットドックを食べたのをきっと思い出せるように。

東京で仕事をしているスタイリストのYuriko Eにとって、クルマは特別な空間、自分だけの部屋。運転席から綴る、その日の相棒の話。

Written & Photographed by Yuriko E