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TALK WITH TOSHIKI-SAN

アーティスト・デザイナー八木沢俊樹さんのスタジオに、アートディレクターの前田晃伸さんが会いに行ってきました。

6月後半にPAAMAで開催予定のグループ展「オープンワールド」に向けて、コンテンポラリーカルチャーメディア「New Scale」を主催するデザイナー・アーティストの八木沢俊樹さんに会いに行ってきました。

彼のスタジオは都心から車で2時間くらい。緑の多いのどかな場所にあって、広々として気持ちがいい。中に入ると、製作中の作品や道具がきれいに並んでいて、なんでも自分で試して解決していくのが、すぐに伝わってくる。実際、作品制作のほか、撮影やウェブサイトなどもなんでもこなし、この先農園を作りたいと考えているらしい。

ちょっと早めに着いたけど、八木沢さんは猫と一緒ににこやかに出迎えてくれた。猫は2匹いて、グレーのロシアンブルーが「ユーリー」、白くて元野良の子が「ミルティ」。

ユーリー。
ミルティ。

「東京に行ったとき、なんか猫欲しいなと思ってお迎えしたんですよ」
そう言って微笑む八木沢さん。ユーリーはそのときの猫で、めちゃくちゃ神経質で内弁慶。しかもエサが欲しいときは夜中の3時くらいでも構わず本気で噛んでくるらしい。
「寝てても関係なくて、ガブッと。ちゃんと傷、残ってるんですよ(笑)」

一方のミルティは実家に帰ったときに出会った猫で、かなり痩せててボロボロだったのを「見捨てられなかった」と保護したそう。
「ほんとに死にかけてたんですよ。でも連れてきたら、意外と元気になって」

二匹は同い年くらいらしいけど、性格は全然違う。ミルティは人間にあんまり懐かないタイプで、「寝起きのときだけちょっと甘えてくるんですけど、すぐ逃げちゃうんですよ」って。ツンデレにもほどがある。

ちなみに猫を選んだ理由は「犬より手がかからないって聞いたから」とのこと。でも実際はそうでもないみたい。
「全然寂しがりますね。めちゃくちゃ感情あるし」

リードをつけて散歩に行けるユーリーに対して、ミルティは外に一歩も出たがらない。
「リードつけたら、その場で固まっちゃって。全然動かない(笑)」

ごはんもそれぞれこだわりがあって、ミルティは早食いですぐ吐いちゃうから、大きめの粒のフードに変えたら落ち着いたとか。
「チュールとか全然食べないんですよ。超グルメなんで」

夜になると猫タワーで遊び始めるのだけど、鳴き声がすごいらしい。
「絶望的な声で鳴いてるんですよ。ちょっとホラー(笑)」

猫の日常は、ちょっとしたホラーで、ちょっとした喜劇。その存在はまるで、八木沢さんの作品そのもののようだ。
「もう、全部気まぐれなんですよ。でも、それがいいんですよね」

猫もアートも、思い通りにならない。その不確かさの中に魅力があるのかもしれない。

八木沢 俊樹 (Toshiki Yagisawa)
アーティスト、New Scale主宰。スタジオ周辺の伐採木を使った彫刻や3Dスキャン・プリンティング、陶芸を融合させ、地域の記憶と先端技術を繋ぐ。「オープンワールド」展では、伝統と革新が交錯する作品で、現代社会の対話を生み出し、観客との交流トーで新たなリーを展開。視覚文化の可能性を探求し、過去と未来をつなぐ彼の作品は、国際的なコラボレーション(M/M Paris、JW Anderson,Bang & Olufsenなど)で注目を集める。
https://toshiki.studio/
https://www.instagram.com/toshikistudio/

Interviewed, Photographed by Akinobu Maeda