数年前にロサンゼルスで買ったサーマルのTシャツとタイツ。とある仕事のために仕入れたアイテムだ。薄いピンク色で、セットアップでも着用できるように、上下並べて販売されていた。日本にも出まわっているが、大抵は男性用で、特にタイツは、股間部分に開閉できる穴が付けられていることが多い。しかしこれはそうなっていないため、女性でも着用しやすいのではないかと思った。すごく可愛いと思って購入したのだが、クライアントにはお気に召していただけなかったようで、ずっと放置されてしまっていた。ふと思い出して返却してもらい、AWWで撮影することにしたのだ。
モデルはアニー。このワークウェアのようなハードなアイテムには、華奢でかわいらしい彼女以外に、着せる人物は思い浮かばなかった。というか、この子ならなんでもかわいくなる。だって本人がめちゃくちゃかわいいのだから。。。ロスアパの肉厚なフーディに、レッド・ウィングを合わせた。ともに最近、僕がハマっているアイテムで、この辺りも女子に着せて撮影したかったのだ。
トップスのそれは、洗えば洗うほど素材感がよくなっていく素晴らしい逸品。オープンエンド糸で織られたスウェット生地はゴワついた表面感でとても表情があり、おじさんでも、ティーンガールでも、おばあさんでもきっと似合う。なかでもこのアッシュグレーは、かなり白に近く、クラシックないい雰囲気がある。きれいに紡績された糸で仕立てたスウェットも世の中には存在するが、高級感があり、洗練された印象がセレブ感を漂わせてしまい、なぜか一昔前っつぽく見えるような気がする。コロナ渦で、経済的に難しい状況がある昨今には、ゴツゴツした野暮ったい素材感の方が気分なのかもしれない。時代は変わったのだ。
ブーツは、レースアップのアイリッシュセッターにしようかと悩み、現場には、メルカリで以前に購入した白スエードのものと、昨日買った赤茶のものを持っていったのだが、シンプルさにグッときて、以前にアメ横で購入した白スエードのペコスブーツを選んだ。白いソールもかわいいし、何より、女の子が足のフォルムを見せて履くブーツ姿は、やっぱりかわいいと思ったからだ。そう、僕は高校生の頃、同級生の女の子がスカートにウエスタンブーツを合わせている姿に一目惚れした。色が白くて、細長い足に、ハードなブーツは、それぞれをすごく魅力的に見せていたのだ。男だって短パンにブーツを合わせてもいいのだろうけど、ゴツゴツした足に合わせても、美しいコントラストは生まれない。
バッグはAWWの2人が今度販売するものらしい。スウェットに合わせたらいい感じだった。詳しいことはよくわからないが、生地が柔らかくて、斜めがけできるストラップも付いていて、すごく使いやすそうだ。
コロナによって時代は変わった。リラックスしたウェアが毎日の生活に合っている。もはや街へ出かける時も、スウェット上下が今の気分だ。もう一生、革靴なんて履かないんじゃないかって気にもなっていた。でも、あまりにもラフな服装で過ごして来たから、なんだか逆に小綺麗な格好をしたい気持ちも芽生えて来た。だから秋になる頃には、もしかしたらスーツにネクタイをビシッとしているかもしれない。だって、ファッションは理屈ではない。ただの気分なのだから・・・。
エイチ ビューティ&ユース03-6438-5230
レッド・ウィング・ジャパン03-5791-3280
ロサンゼルス アパレル ジャパン03-5726-8717
Styled & Written by Akio Hasegawa
Photographed by Seishi Shirakawa
Hair & Make-up by Momiji Saito
Model:Annie